きまぐれ日記
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※又百
「…どう、言えばいいのか分からないのですが」
このひとは、のどの奥から絞り出すように話をする。
おのれの好む話をするときには弾むように、一言ひとこと確かめるように。
こんな風に迷いながら、言葉を紡ぐときも。
「わたしは、自分をいらないものだと―――思っていて」
いつも自分を卑下するような物言いをするのは、少し悲しいけれど。
「なんの役にもたたぬ穀潰しが、生きているのは恥ずかしいことだと―――思っていたのです」
「それでもどうすることもせず、身分に甘えて」
「ただのらりくらりと、息をしていたのです」
本当はそれを聴いているだけでも、よかった。
「けれど」
けれど。
「みなさんに出会って、大きなものの中に加われた気がして」
「御迷惑でしょうが―――わたしは」
「生きていて、よかったと、はじめて、思えたのです」
―――あの日そう言って笑ったあなたを、
突き放す。
光の下の、影の中へと、―――突き放す。
それがどんなに残酷なことか、知りながら。
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